本記事は、2023年5月29日にリリースした「【食品・飲料業界】コーポレートサイト調査レポート」の一部を抜粋した内容です。事例については割愛をしていますので、こちらからレポートをダウンロードし、ご参照ください。
消費者の行動や嗜好の多様化を受けて、食品・飲料業界におけるコミュニケーションの在り方も変化をしています。同業界では、コーポレートサイトやブランドサイト・会員サイト・SNSアカウントなど複数のチャネルを運用している場合が多いですが、顧客などステークホルダーとのコミュニケーションにおいてどのようなポイントを押さえるべきなのでしょうか。本レポートでは、各企業の事例などを踏まえてレポートしていきたいと思います。
ブランドのコンセプトや世界観の訴求
消費者は商品をモノとして見るのではなく、その背後にあるブランドコンセプトや世界観に共感したいと思っています。そのため、商品開発の背景や歴史・ビジョン・世界観などをストーリーとして伝えることが重要です。ブランドへの共感が、商品ブランドとの絆(ロイヤリティ)を深めることにつながります。特に、類似する特性・機能が多く存在する競争の激しい市場では、ストーリや世界観が商品の差別化や顧客ロイヤリティを形成する重要な要素となるでしょう。また、事業活動そのものが商品の世界観と合致していることも重要です。様々な顧客接点で一貫性のある”ふるまい”をすることが強固なブランドを構築していきます。
独自性のあるサービス提供と消費者接点の構築
メーカーがECサイトなどで消費者に直接商品を届けるDtoC(Direct to Consumer)モデルが
注目を集めていますが、食品・飲料商品の多くは小売を通して販売されています。
小売での顧客接点を持たないメーカーはCMなどのマスメディアを利用して商品の魅力を広く消費者に訴求する必要がありますが、嗜好性が多様化した現代においては企業からのメッセージが届きづらいという問題があります。そこで、メーカーはオンライン等でマスメディアではアプローチできない細かい粒度のターゲットにアプローチし、コミュニケーションを図る必要があります。
食品・飲料メーカーのWebサイトではレシピやキャンペーン・お役立ち(お楽しみ)などのコンテンツが一般的です。これらのコンテンツはよく見られるものではあるものの、どのメーカーも力を入れており、また、レシピは他のレシピサイトとも競合するため、単にコンテンツがあるだけでは、ユーザーを獲得するのが難しいという課題もあります。
オフラインも含めて独自性のある企画やサービスを提供するなど、他社と差別化を図ることが今後のコーポレートサイトには求められるでしょう。
ユーザーを巻き込むインタラクティブ性と囲い込み
オウンドメディアでの接点構築だけでなく、一見(いちげん)さんからリピーター・ファ
ンへとエンゲージメントを高めていくことが重要です。コロナ禍でオンラインに移行する
流れとなりましたが、以前は工場見学やイベントが人気でした。試食(試飲)などで実際
に商品を手に取り体験することで、商品への関心や愛着を高めることができるだけでなく、
実際に製造工程を見ることで、商品への信頼感やロイヤリティの向上に寄与します。イベ
ントや工場見学などのリアルな体験は、SNSでの拡散も期待できます。企業のファンと
なった消費者が新しい顧客を呼ぶ良いサイクルを確立することが重要です。
また、メーカーが消費者と⾧期的な関係を築き、ロイヤリティを高めるための手法として、
会員プログラムが挙げられます。オンラインショップやアプリを通じて、最新情報やクー
ポン・ポイントの提供などユーザーメリットを定期的に届けることで関係性の強化が期待
できます。定期購入やサブスクリプションを取り入れることで、継続購入も期待できるで
しょう。
環境・安全への配慮
環境や消費者の健康・生活と密接に関わっている食品・飲料業界では持続可能性への注目
が集まります。
プラスティック削減やサステナブルな包装の採用、原材料・畜産方法の見直し、代替肉の
開発など環境への様々な取り組みが行われるようになりました。ブロックチェーン技術を
活用して原材料や食品の品質・安全性を追跡するレーザビリティなど新たな取り組みも始
められています。また、社会への貢献を通じて消費者との交流し、コミュニティづくりに
注力する企業も散見されます。
このような環境・安全への配慮、技術開発などの取り組みをステークホルダーとのコミュ
ニケーションに活かすことで、よりクリーンな企業として認知され企業のブランド・ロイ
ヤリティ強化にもつながります。
各チャネルの役割・位置付けを明確にする
最後に、企業視点での話をしたいと思います。食品・飲料メーカーでは、コーポレートサ
イト・ブランドサイト・SNSアカウント・会員サイトなど多くのコミュニケーションチャ
ネルを運用していると思いますが、それぞれのチャネルの役割や位置付けを明確にし、レ
ギュレーションを基に運用することが重要です。
例えば、下記のようなレギュレーションが挙げられます。
ブランドサイトで、どこまでを共通化するか。商品ブランドで自由にモーションできる領域を決めておく。(例:ヘッダー・フッターなど回遊性に関わる機能は共通化する。予算をかけて自由にプロモーションする商品とフォーマットに沿った展開にする商品をブランドごとに規定するなど)
コーポレートサイトとブランドサイトで役割を明確にし、掲載する情報の粒度を規定する(例:コーポレートサイトでは原材料や内容量・アレルギー情報などスペックに関する情報を掲載し、ブランドサイトではプロモーションやコミュニケーションを重視するなど)
SNSアカウントのルールや発信内容(例:企業全体のアカウントと主力商品のみアカウントを開設する。企業アカウントでは環境・安全性など投資家含めたステークホルダー全体に情報を発信し、主力商品ではプロモーションやイベントなど顧客コミュニケーションに関わる情報を発信するなど)
各チャネルの役割・位置付けを明確にすることで、どのチャネルでどのようなコミュニ
ケーションを行うべきか迷わないという点に加えて、顧客視点でも何を見ればどのような
情報が取得できるかが分かりやすくなり、継続的に利用してもらいやすくなるメリットが
あるでしょう。
いかがでしょうか。当社では、今後もデジタルマーケティングやDX関する課題やトピックスを「Digital Marketing Reports」として定期的に発信していきます。
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