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コーポレートサイトリニューアル RFPの書き方

近年は社会を取り巻く環境が急速に変化し“先の見えない時代“と呼ばれています。テクノロジーの進歩や環境変化・生活者の価値観の多様化などを受けて、企業に求められることも大きく変わっており、企業のスタンスを映す「コーポレートサイト」も役割が変化しています。


そんな中、上司から突然「コーポレートサイトをリニューアルして」と指示されたらどうしますか。Web制作会社やシステム会社に依頼をする前にRFP(Request for Proposal)を作成し、プロジェクトの目的や課題・要望を明確にするだけでなく、上記の視点を踏まえた適切なRFPを作成することが重要です。今回は、コーポレートサイトの担当者の方向けに、リニューアルのRFPにどのような内容を盛り込むべきかについて記載しました。


リニューアルの背景・目的・ターゲット

まずはじめに、リニューアルの背景や目的を明確化する必要があります。リニューアルの背景としては、以下のような事項が挙げられます。

  • デザインやシステムの経年劣化

  • つぎはぎでの増改築による統一感の欠如

  • 掲載内容が事業の実態と合わなくなってきた

  • 新たな事業・サービスの追加による全面的な見直し


ターゲットと目的は、業種・業態やコーポレートサイトの特性によって様々ですが、一般的な上場企業の場合、以下のような事項が挙げられます。

  • 顧客:リード獲得(お問い合わせ・資料請求)、商品購入、サービス申込

  • 投資家:投資に必要な正確かつ即時性の高いIR情報の取得

  • 評価機関・専門家:CSRやIR情報の適切な情報開示

  • 社員・関係会社:インナーブランディング(理念や事業内容の理解浸透)

  • 採用希望者:応募者数の増加

KGI/KPI

次に、リニューアルで達成したいKPIを明確にする必要があります。KPIはKey Performance Indicatorの略で成果を測る重要指標となります。ユニークユーザー(UU)数やPV、コンバージョン(CV)数など、アクセス解析で測定する数値が一般的ですが、数値が増えた(減った)理由やユーザーの満足度などは分かりません。そこで、月次ではアクセス解析で測定できる数値をモニタリングしつつ、半年もしくは一年ごとにアンケート調査やユーザーテストを実施して、満足度や継続利用意向、NPSなどを測定することを推奨します。

また、KPIのモニタリングと合わせて、PDCAを回すことが継続的な改善に不可欠です。すぐに改善できるように予め体制や予算を確保しておくことが望ましいでしょう。


スコープ

どこまでをプロジェクトの範囲とするかを明記しておく必要があります。対象となるWebサイトやコンテンツ・機能等を明確にすることで、制作・開発会社が正しい見積りを作成できるようになるだけでなく、認識齟齬が原因でプロジェクト途中で見積額が上がるということも防ぐことができます。

また、対象となるWebサイト(またはコンテンツ・機能)だけではなく、対象となる(もしくは対象外となる)作業も明確にしておく必要があります。例えば、お問い合わせフォームのデザインやコーディングまではして欲しいものの、テンプレートの組み込みやシステム開発は既存のベンダーに依頼する場合もあると思います。作業範囲や役割を明確にしておくことで、後の大変な調整や交渉を防ぐことにつながります。


課題

既知の課題や事前の調査などで明らかとなった課題は抜け漏れなく記載し、委託会社からの提案を受けるようにすることが良いでしょう。資料がある場合は別紙として開示すると、ベンダーが課題を理解を深めることができます。


要望・達成基準

要望については、抜け漏れなく記載をしておくようにしましょう。優先度(高・中・低)があると、ベンダーはより提案がしやすくなります。また、達成基準がある場合は、それを記載しておくことで、達成基準を満たすプロセスや検証方法を提案してもらうことができます。例えば、アクセシビリティ基準であれば、WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)2.0や**JIS X 8341-3:2016**が挙げられます。ベンチマークしているランキングで〇〇以内に入る、という書き方をすることもできますが、ランキングの詳細を開示していない場合も多いため、あくまでも努力目標に留めておくべきでしょう。


提案内容

ベンダーに何を提出してほしいかを記載します。プロジェクトの規模や担当者の意向にもよりますが、以下のようなものが挙げられます。ドキュメントのファイル形式やサイズについても指定があれば記載をしておくようにしましょう。

  • 提案書(企画書)

  • デザイン

  • スケジュール

  • 体制図

  • 見積書

  • 実績

  • 担当者・プロフィール

また、見積を各社で比較したい場合は、見積フォーマットを提示し、そのフォーマットに沿って金額を埋めてもらうようにすると良いでしょう。


成果物・契約条件

プロジェクトの成果物やファイル形式、契約条件などの詳細を記載をしておくことで、後々の契約上の問題を防ぐことが期待できます。例えば、デザインの元データやテキストや画像などのWeb素材を納品してほしい(もしくは2次利用したい)場合は、予め記載しておくべきでしょう。


公開日

リニューアル日など、Webサイトをリリースする日程を記載します。また、深夜リリースや土日対応、現地出社対応などリリースに伴う前提がある場合は、追加料金となる可能性があるため、記載をしておきましょう。


予算

予算を記載する場合としない場合でそれぞれメリット・デメリットが考えられます。ある程度、プロジェクトに掛かる精緻な金額が算出できるのであれば記載をしておくことが望ましいですが、本来掛かる金額よりも高い場合は、予算があるからと上限ギリギリまで見積額を上げられる可能性もあります。金額については、過去の実績や専門家の意見を踏まえて、慎重に精査するべきでしょう。


お問い合わせ先

担当者の氏名、メールアドレスなどを開示し、お問い合わせ先を明示しておきましょう。質問については、メールや電話で都度対応をすると煩雑になるため、質問票にするなど、質問のプロセスや回答の開示範囲を明確にしておくことをご推奨します。



コーポレートサイトの役割が増えるに従い、Webサイトが大規模化しています。精緻なRFPを作成するには専門家の力が不可欠となります。

当社では、客観的な視点から貴社の課題や要望をRFPに落とし込み、ベンダーを選定するまでの包括的なご支援をさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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